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【連載】第2回 不動産市況を読み解く 増えるインバウンド需要。民泊宿泊ゲストはどの国の旅行者が多いのか?

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2016年の日本を訪れた外国人客は、初めて2000万人を超えた。

2015年は、1957万人とわずかに届かなかったが、2016年は10月末時点ですでに2000万人を超え、最終的な数字は発表されていないが、大きく上回ったと思われる。

2013年に初めて1000万人を超えてから、わずか3年で倍増という勢いだ。
政府は2020年には4000万人を目指すとしており、オリンピックのボーナス分はあるものの、今の倍の観光客が日本を訪れる時代がもうすぐそこに来ている。

自民党政権に戻り、安倍総理が掲げた政策の中で、最も成果が表れていることかもしれない。

 

では、どの国からの観光客が多いのだろうか?

 

 

図1は、観光庁が発表した2015年の外国人観光客のデータだ。(人数×泊数での算出であることに注意)。

 

これを見ると、第1位は中国で全体の27%、第2位が台湾で18%、第3位は韓国の11%、そして第4位は香港で8%と続く。

これらの最も近いアジア各国の合計で約65%となっており、かなりの割合を占めている。

エリアの偏りが大きいことに、懸念の声も聞こえる。

 

かつてSADSが起こった時のような感染症パニックや政治的な対立、通貨問題等が起こった時に、減少可能性のリスク分散ができないと言えるからだ。

イタリアローマやフランスパリなどは世界各地から観光客が集まってくる。

観光立国を目指すのであれば、アジア人に人気の観光地ではなく、世界的な観光地になることを我が国は目指すべきだろう。

 

外国人観光客が民泊を利用することが増えているようだ。

先日(2月17日)の日経新聞の記事によると、大阪のホテル稼働率の上昇が一服しており、その理由として、ホテルの客室増や「民泊」台頭が理由として挙げられていた。

2016年の大阪府内に来る外国人観光客のうち、57%がホテル宿泊にとまり、なんと民泊宿泊者は17%にもなった記事にあった。

「民泊の影響が想像以上に大きい」と大阪市内の大手ホテル関係者は述べている。

 

 では、民泊を利用する観光客はどこの国からの訪問者が多いのだろうか?

 

 

 

図2は、民泊宿泊ゲストの国籍の割合を示したものだ。2016年1~12月における全国の1000物件約5万人をサンプルとしている。

これを見ると、韓国・中国・香港・アメリカと続く。上位4か国で、約半数を占めている。

 

外国人旅行者の国に偏りある以上、どうしても民泊ゲストにも偏りができるのはしょうがない。しかし、民泊ゲストの方が幾分ばらつきがあるようだ。民泊の法案が

今国会で審議されることになりそうだ。

 

その法律案の内容が、ぽろぽろと漏れ始めている。ITproでは、2月21日、「民泊新法(住宅宿泊事業法)」の条文案を入手したと報じている

これによると、年間宿泊数の上限設定として、法案では「人を宿泊させる日数として国土交通省令・厚生労働省令で定めるところにより算定した日数が一年間で180日を超えない」と定めている。

いろんな業界の思惑が交錯しており、それらを取り巻く政治家もいる。政治家が記者を呼び、「こんな感じで書いてくれよ」と圧力をかける。

いつものなかなかまとまらず成立しない法律の構図であるが、今回の民泊関連法案はどうなることだろう。

法律がどんな感じになり、いつから施行されるのか、目が離せない。

 

執筆:不動産エコノミスト 吉崎誠二
民泊総合研究所 チーフエコノミスト
(社)住宅・不動産研究所 理事長

■執筆者紹介
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吉崎誠二(よしざきせいじ)
民泊総合研究所 チーフエコノミスト
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。
立教大学大学院 博士前期課程修了。㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者 等を経て 現在 本職に加えて、 社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長を兼務。
不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。著書:「データで読み解く 賃貸住宅経営の極意」 (2016年2月) 「2020年 大激震の住宅不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを買える人」(青春新書)等10冊。多数の媒体に連載を持つ。
公式サイトhttp://yoshizakiseiji.com/

 

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