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調査: 無人型宿泊施設「Commune」の業績を大公開!ROI 45%という驚異的な結果に

投稿日:2018年3月20日 更新日:

2018年6月15日に施行される住宅宿泊事業法(民泊新法)に向け、3月15日から事前申請の受付が開始されました。

民泊新法では、チェックイン・チェックアウトの際の本人確認方法として、「電子端末を利用したテレビ電話」を許可したことで、大きな注目を集めました。

参照:民泊、本人確認に3手法 来春解禁で国交・厚労省

従来の仕組みとは大きく異なるのは、民泊ではフロントマンがいなくても、スマートフォンやタブレット端末を施設に設置することでチェックインが可能になることです。

当研究所の運営会社である株式会社VSbiasでは既に、タブレットを活用した無人型宿泊施設「Commune Kujo」を運営しております。

本記事では、「Commune Kujo」の業績から、実際に無人型宿泊施設がどれほどの収益性があるのか、検証してみました。

 

タブレットとスマートロックを活用した今までにないチェックイン

2017年11月に無人型宿泊施設「Commune」の第一号施設として、「Commune Kujo」をオープンしました。

「Commune Kujo」は、従来のフロントマンに変わって、タブレットとスマートロックを活用し、宿泊者が自分でチェックイン業務を行う”セルフチェックイン”方式の宿泊施設です。

参照:民泊ベンチャーVSbias、AIなどを活用した無人型宿泊施設「Commune(コミューン)」を10月 大阪でオープン

宿泊者が施設の予約を行うと、運営者から宿泊者にチェックインコードが送られます。

宿泊者がフロントに到着すると、タブレットにてチェックインコード照会を行います。チェックインコードが照会されると、パスポートを撮影し本人確認を行います。

パスポートが撮影されると、自動的にテレビ電話が開始し、パスポート所持者とチェックインをする宿泊者が同一人物かの確認を行います。

確認を終えると、宿泊者は部屋に入室することができるようになります。

RevPARは4,000円〜6,000円とビジネスホテルには少し及ばない

ホテルを運営する上で「そのホテルの販売が上手くいっているかどうか」を図る指標として用いられるのがRevPAR(Revenue Per Available Rooms)という指標です。

RevPARとは以下のように、平均客室単価と客室稼働率を乗じた値と同じです。

RevPAR = ADR(客室平均単価) × OCC(客室稼働率)

参照:こんなはずじゃなかった! ホテル不動産投資で失敗しないための判断基準

以下のグラフは「Commune Kujo」のRevPARの推移です。

RevPARを評価する上で、近隣にあるビジネスホテル「チサンイン大阪ほんまち」と比較してみました。

「Commune Kujo」は無人型宿泊施設ですので、ビジネスホテルよりも人件費は低いはずです。ですので、RevPARを比較した際に同じ程度であれば、収益性がかなり高いと言えます。

平均して、「チサンイン大阪ほんまち」に比べRevPARガ2,000円〜3,000円ほど低いという結果になりました。

要因としては、まだレビュー(口コミ)が少ないことや、現金決済の受入が不十分だったり、ブランドとしての知名度が低い、などが挙げられるかと思います。

実際にRevPARはビジネスホテルより低いですが、粗利率はどうでしょうか。

 

粗利率は20%〜30%と高収益

 

「Commune Kujo」は無人型宿泊施設ですので、人件費がほとんどかかりません。(清掃員など一部費用が発生しています。)

そのため上グラフのように、物件の賃料を売上対比で33%支払っているにも関わらず、20%を超える粗利率となっています。

 

ROIは他の投資に比べトップレベル

ROIとは、Return On Investmentの略語で、投資したコストに対する効果を見る指標です。ROIは利益を投資コストで割ることで算出することができます。

計算式は下記の通りです。

ROI = 利益÷投資コスト×100

例えば、宿泊施設のリフォーム・什器備品等への投資に100万円投資し、年間の利益が20万円だった場合は 、

200,000÷1,000,000×100= 20

となり、ROIは20となります。ROI=20とは1年間で初期投資額の20%を回収できたという意味です。つまり、5年で投資コストのすべてを回収できるという意味になります。

さて、実際に、「Commune Kujo」のROIと、類似している他の不動産を活用した投資を比較してみましょう。

まず「Commune Kujo」は、1室あたりの投資コストがおよそ100万円だったのに対し、利益が年間45万円ほどですので、ROIが45%ありました。つまり、2年2ヶ月で投資コストを回収できるという計算になります。(税金等のコストは含んでません。)

では、実際にこの45%という数字が良いのか悪いのか測るために、他の投資と比較した表を作成しました。

 

各業界の平均的なROIとCommune Kujoの比較
ROI
Commune Kujo
45%
フラワーショップ 18.1%
美容室 17.0%
旅行代理店 16.6%
飲食業 15.3%
コンビニ 12.2%
薬局 8.9%
クリーニング店 8.7%
食品スーパー 7.7%
スポーツ用品店 7.5%
ガソリンスタンド 5.6%

出所: 投下資本利益率(ROI)指標を活用した資金回収期間の求め方

ご覧のように、他の投資に比べ、「Commune Kujo」のROIは3倍以上高いことがわかります。投資回収期間が2年2ヶ月というのは、他の投資と比較すると高水準という結果になりました。

 

まとめ

 

いかがでしたでしょうか?

売上では現状のところビジネスホテル以下という結果になりましたが、ROIでは他の投資に比べかなり良いという結果になりました。

もちろん様々な外部要因、内部要因によっても結果は変わることが予想されますが、

無人型宿泊施設への投資が、今後のトレンドになる可能性もありそうです。

是非、一度検討をしてみてください。

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