今年5月23日に大阪府が、2025年の万国博覧会の開催候補地として正式に立候補し、ロシアのエカテリンブルグ、アゼルバイジャンのバクー、フランスのパリと競い万国博覧会招致に向けてより一層準備を進めることになりました。
Airbnbが選んだ「2016年に訪れるべき世界の16地域」でも、大阪市中央区は堂々の1位に輝いており、今まさに世界が注目する地域であるといっていいでしょう。
図1: 主要観光地の外国人宿泊者数
出所) 観光庁のデータを集計
さて、上図は全国主要観光地の外国人宿泊数ですが、大阪府は東京都に次ぐ2位となっています。東京都と比較すると宿泊者数は約半数にとどまっておりますが、東京都除いた観光地の中では群を抜く結果です。
図2: 主要観光地の民泊物件数
注) 図は2016年時のデータ
出展) AirbDatabank
次に、図2は民泊の物件数をグラフ化したものです。民泊物件数においても大阪府は東京都に次いで2番目に多く、約10,000件となりました。こちらも外国人宿泊者数と同様、東京都を除く観光地の中では1番多くの物件数となりました。
また、大阪府は国家戦略特区域外外国人滞在施設経営事業、通称特区民泊としても認定されているほど、民泊に対して関心の高い地域と言えます。一方で、2017年5月23日現在、大阪府(大阪市を含む)に認定されている特区民泊物件数は88施設154室と、全体の1万件に対して約1.5%しかありません。これは、認定取得に対するハードルが高いことを表しています。
民泊の合法性・違法性に興味がある方は、法律のプロが執筆した法律コラムをご覧ください。
前回と同様に
大阪府の収益分析を行いました。
図3: 大阪府/エリア別収益分析
図3(2016年、1R) 縦軸:平均収益、横軸;家賃相場、円の大きさ:民泊の物件数 (サンプル数:10,768)
出所) 平均収益、物件数:Spike, 家賃相場: Home’s より作成
上図の通り、先述の中央区と浪速区における収益性が高いことがわかりました。また、損益分岐線(平均収益=家賃+3万円を示す)よりも上に位置する区が中央区・浪速区に加えて北区、淀川区、東淀川区、都島区、福島区、天王寺区、阿倍野区、西区、大正区、港区、西成区、此花区の14区存在することが分かりました。大阪市外でも高槻市では物件数は少ないものの損益分岐線を越えています。
冒頭のAirbnbでも取り上げられた中央区では、月ごとの見込み利益が約8.1万円となり、その次に高いのが約7.9万円で福島区となりまし。福島区が人気の理由として、ターミナルとなる大阪駅、新大阪駅から近く、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンへのアクセスが良いという立地から、宿泊需要が高くなっていると考えられます。此花区は2025年万国博覧会の主な会場として考えられているため、不動産投資として新たに民泊を始める際には狙いどころとなるかもしれません。
まとめ
本レポートではAirbnbでも人気である大阪エリアに焦点をあてた分析をご紹介しました。大阪は、物件数や外国人宿泊者数では東京より下回るものの、東京と比べ安いことを考慮すると、日本一収益性が高い可能性がある優良なエリアと言えます。また、2020年東京オリンピック以降のインバウンド需要に関しても、万博の候補地になった大阪は狙い目であると言えるでしょう。
留田 紫雲 (とめだ しゅん)
民泊総合研究所 シニアフェロー
不動産ディベロッパーにて、外国人賃貸集客事業の責任者を経て、2015年11月に不動産×ITの事業展開する株式会社VSbiasを創業。テクノロジーの力で空間資産を解明・最大化させることをミッションとする。2016年7年 同社を株式会社メタップスに事業売却し、最年少子会社社長として事業を推進している。